ChatGPTを、何かを調べるためだけに使っていないでしょうか。

わからないことを質問する。文章を書いてもらう。情報を整理してもらう。

もちろん、それだけでも十分便利です。

でも、それ以上に面白い使い方が、AIを「記憶媒体」として使うことです。

つまり、必要になったときに質問するだけではなく、普段から自分が見たもの、考えたこと、気になったことを、とにかくAIに残しておく。

そして後から、

「前に話していたあれ、何だっけ?」

と聞く。

AIが賢くなったことで、メモの取り方そのものが変わり始めています。

「あとで使うかわからないこと」こそ、AIに話しておく

日本では、タレントの若槻千夏さんのChatGPTの使い方が話題になりました。

報道によれば、若槻さんは「今からコーヒーを飲む」といった日常の出来事までAIに話しておき、テレビ番組のアンケートを書くときに「最近行ったカフェを覚えてる?」と聞くそうです。

すると、過去に話しておいた出来事から、必要なエピソードを取り出せる。

いわばChatGPTを、自分専用の記憶係として使っています。

ポイントは、記録するときに「これは将来重要になる」と判断していないことです。

普通のメモ帳なら、

「これはメモしておいたほうがいいかな」

と一度考えます。

AIなら、考えなくていい。

今日気になったこと。人から聞いた話。ふと思いついたアイデア。行ってよかった店。買ってよかったもの。

とりあえず話しておけばいい。

スマートフォンに向かって30秒話すだけでも構いません。

記録するコストを限りなくゼロに近づけて、整理する仕事を後からAIに任せる。

これが、これまでのメモとの大きな違いです。

「読んだ記事」をAIに残す

例えば、気になったニュース記事を読んだとき、その内容をAIとの会話に持ち込んでみる。

記事を読んで、

「これはどういう意味?」 「この会社にはどんな影響がある?」 「以前読んだニュースとつながっている?」 「この数字で一番重要なのはどこ?」

と質問する。

ここまでは、すでにAIを使っている人なら珍しくないでしょう。

面白いのは、その先です。

記事についてAIと話した記録が積み重なっていくと、後から、

「最近、原子力について読んだ記事は何だった?」 「AIデータセンター関連で気になっていたニュースをまとめて」 「以前話していた○○社の好材料って何だっけ?」

と聞けるようになります。

ニュースをその瞬間に理解するだけではなく、過去の自分の情報収集そのものを検索できるようになるのです。

これは、ブックマークとはかなり違います。

ブックマークにはURLが残ります。

AIとの会話には、

「なぜ自分がその記事を気にしたのか」

まで残ります。

AIに残しておくと便利なもの

特別な情報だけを保存する必要はありません。

たとえば仕事なら、

会議が終わった直後に、「今日の会議で気になったことはこれ」と音声で30秒話す。

人と会ったあとに、「この人はこんなことを話していた」と残す。

新しいアイデアを思いついたら、完成させようとせず、そのまま話す。

旅行中なら、

「このレストランがよかった」 「このホテルのここが不便だった」

と残しておく。

数カ月後に次の旅行を計画するとき、「前回の旅行で気に入っていた場所は?」と聞けばいい。

買い物でも同じです。

「この靴を試着したけれど、少し幅が狭かった」 「この家具はデザインは好きだけど高さが合わない」

そんな情報まで残しておけば、次の買い物の判断材料になります。

大切なのは、きれいに整理することではありません。

未来の自分が必要とするかもしれない情報を、とにかく残しておくこと。

整理はAIがやってくれます。

特に相性がいいのが、投資やリサーチだ

この使い方が特に強力だと感じるのが、株式投資です。

投資をしていると、毎日のように情報が流れてきます。

決算。 新聞記事。 経営者インタビュー。 競合企業のニュース。 金利。 為替。 新しい製品。 設備投資。 規制。

その瞬間には理解したつもりでも、3カ月後にはかなり忘れています。

そこで、購読している新聞やリサーチ記事を読みながら、気になったポイントや自分の考えをAIとの会話に残しておく。

「この設備投資は来年の売上に効きそう」 「市場は金利上昇を気にしているけれど、こちらの指標のほうが重要かもしれない」 「このニュースは前回の決算で話していた内容とつながっていそう」

そんな小さな気づきを積み重ねていきます。

数カ月後。

株価が大きく動いたときに、

「この会社について、これまで自分が気にしていたポジティブ材料を全部出して」

と聞く。

あるいは決算前に、

「この3カ月で読んだ情報から、今回確認すべきポイントを整理して」

と聞く。

するとAIは、単なる一般論ではなく、自分が実際に読んできた情報と思考の蓄積を材料に、一緒に考えられる存在になっていきます。

ここに、AI時代の情報収集の大きな変化があると思っています。

「検索」ではなく、「記憶を育てる」

これまでインターネットでは、必要な情報が出てきたら検索するのが当たり前でした。

AIの時代には、少し逆になります。

必要になる前から、情報を残しておく。

検索するのではなく、自分の記憶を育てておく。

そして必要になった瞬間に、AIに呼び戻してもらう。

そのためには、完璧なノートを作る必要はありません。

記事を読んだら残す。 思いついたら話す。 気になったらクリップする。 その場でAIと少し話す。

それだけです。

Clip & Chat が目指しているのも、まさにこの体験です。

Clip it. Chat about it. Recall it later.

情報を保存するだけではなく、その場で理解を深める。

そして、その対話まで含めて自分の知識として積み重ねていく。

AIを検索窓として使うだけではなく、自分の「第二の記憶」として使う。

Clip & Chatは、そのための場所になろうとしています。